第63回選手権:早稲田実 対 報徳学園
■選手権63回大会 3回戦
早稲田実
   
報徳学園
×  
[早稲田実]荒木−松本 [報徳学園]金村−石田
[本塁打]なし
[3塁打]住吉
[2塁打]阿部、浜中、金村

<オーダー>

       [早稲田実]            [報徳学園]             

 

氏名

打数

安打

打点

三振

四死球

小沢

岩田

高橋

小山

池田

※7

芳賀功

住吉

黒柳

荒木

松本

             

 

30

荒木 回9:2/3 安打11 三振3 四死球3 失点5 自責点5

 

氏名

打数

安打

打点

三振

四死球

高原

大谷

石田

金村

西原

岡部

若狭

野崎

※H

永田

※4

浜中

東郷

 

38

11

金村 回10 安打5 三振5 四死球4 失点4 自責点4
※は途中出場

<戦 評>
この大会は延長戦が多く、7試合目の延長戦。報徳が早稲田実を倒したというより、金村が荒木を倒したといという形容詞が当てはまるようなドラマチックな試合内容だったと思います。
早稲田実は大黒柱の荒木大輔が2年生ながら3度目の甲子園。前年は選手権準優勝で小沢、小山らメンバーが8人残る今大会の優勝候補。対する報徳学園は2回戦で前年:優勝校の横浜を破り、上昇気運。特に2打席連続ホームランを放った金村は今大会、打って・投げての大車輪の活躍でした。

試合は7回まで荒木が4安打に抑える力投。バックも7回に援護。一死から池田がレフト前にヒットを打つと続く住吉が右中間を破る3塁打で先制。続く黒柳がセンター前にタイムリーを放つと、その黒柳が犠牲バントで2進後、すかざず松本もファースト強襲のタイムリーであっという間に3点を金村から奪った。    

早稲田実は8回も金村を攻め、先頭バッターの2番:岩田が四球で歩くと、3番:高橋が送りバント。岩田が一挙に3塁を陥れ、一死3塁のチャンス。ここで頼れる4番:小山。豪快な打撃で外野フライを期待か..と思ったその瞬間、なんとスクイズ。成功し4−0となったが、逃げにも捉えられる攻めだった様にも思われました。                                             

8回、疲れの見え始めた荒木に報徳打線が牙を剥く。東郷、高原と連打で一死1,2塁とし、2番:大谷がセカンドへゴロ。併殺か!と思ったが間一髪大谷の足がベースを駆け抜け一塁はセーフ。この間に東郷が一挙に本塁を陥れ1点を返す。9回、早稲田実は三者凡退で討ち取られ、報徳は9回を残すのみとなった。    

その9回、先頭の金村が二遊間に高く弾む打球を放ち、これが内野安打。続く西原が四球で無死1,2塁となり、5番:岡部が3塁線を破る2塁打で金村が生還4−2.一死後、更に浜中も3塁線を破る2塁打を放ちつに同点とした。                                          

息を吹き返した報徳、尻尾を捕まれた早稲田実。勢いの差は10回も止まらず、早稲田実は三者凡退。その裏報徳も荒木の踏ん張りの前に簡単に2者を討ち取られたが、金村がレフト線に2塁打を放ち、続く西原が2球目をレフト頭上を越す一打を放ってサヨナラ勝ちをおさめた。この回の金村はマウンドの荒木に向かって「勝負せいよ!」と気合いの一言、荒木もうなずき、捕手の松本が「よーし、勝負してやるぜ!」は余りにも有名ですね。結局は内角のシュートを金村は弾き返したのですが、そのボールこそ待ってたボール。強気と強気のぶつかりあいで気持ちがいいですね。                                

報徳の伝統は昔から「粘り強い」。また、昭和36年の倉敷工戦の奇跡の逆転から「逆転の報徳」とも言われています。この大会采配を振るう北原監督はその倉敷工戦でコーチャーとしてベンチにいた。北原監督は倉敷工戦の事を「そんな事だってあるんだ!せめて最終回には1点だけでも入れて、報徳の意地を見せよう!」と倉敷工戦の土壇場で当時の監督であった沢井監督と同じ言葉をかけて選手を励まし奮い立たせた。     

報徳学園はこの試合で一気に加速、準決勝で奪三振王の工藤を擁する名古屋電気、井口の京都商を撃破し、初優勝の栄冠を手にした。                                      

                                            2002.1/29


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